今や電子機器に欠かせない半導体。
その性能は日進月歩であり、近年はシリコン(Si)に代わる素材として、シリコンカーバイド(SiC)や窒化ガリウム(GaN)を使用した次世代パワー半導体の開発が急ピッチで進められている。
今回はそんな次世代パワー半導体の一つ、GaNパワー半導体を設計するナビタス・セミコンダクター(NVTS)をご紹介するのである。
世界一のGaNパワー半導体企業
ナビタス・セミコンダクターは2014年に創業され、2021年10月20日にナスダックに上場したGaNパワー半導体のファブレス企業。
その成長速度は著しく、2021年にはそれまでGaNパワー半導体市場のリーダーだったパワー・インテグレーション(POWI)を追い抜き、市場シェア世界一の座を得るとみられている。
現在の主力製品および市場は急速充電器(ACアダプタ)向けのGaNパワー半導体。
提携企業としてモバイルバッテリーや急速充電器の雄であるアンカーや、パソコンでお馴染みのデルやレノボ、スマートフォンのシャオミやオッポがある。
急速充電器以外の市場としては家電やデータセンター、太陽光にEV、エネルギー貯蔵といった分野。
つまりは現状半導体が担っている分野を、ナビタスは虎視眈々と狙っているのである。
年平均成長率(CAGR)78%の有望市場
GaNパワー半導体の市場規模は2020年時点で45億ドルだが、2025年には850億ドルになるとみられており、年平均成長率(CAGR)78%という伸びのある市場となっている。
そしてナビタスはその市場の伸びをしっかりと享受&獲得している。
2021年第3四半期の純売上高は560万ドルとなっており前年比で61%増。
2021年第4四半期も純売上高も前年比60%増の見込んでいる。
おそらくこの先も市場の成長とともに業績は伸びていくと思われる。
そんな注目企業ナビタスだが、当然注意するべき点もある。
中国とSiCパワー半導体
まず市場が成長しているということは、他のGaNパワー半導体企業も成長しているということ。特に気をつけるべきは中国のイノサイエンス・テクノロジー。
2020年の市場シェアは6%だったが、中国政府の補助金政策もあり2021年にはシェアを20%にまで伸ばしている。
米中関係の悪化で中国政府が様々な製品の国内回帰を促しており、半導体も自国製品を優遇する動きがあることは覚えておきたい。
また最初に書いたように半導体の性能は日進月歩で進んでおり、もう一つのパワー半導体、シリコンカーバイド(SiC)が主流になる可能性にも留意が必要だろう。
とまあ二つほど注意事項をあげたが、正直そこまで心配する必要はないと考えている。
まず中国企業の台頭だが、いくら中国政府の補助金&優遇があっても世界中の膨大な半導体需要が一社で満たせるわけもなく、シェアの奪い合いにはなるだろうがナビタスの業績はしっかりと伸びると思われる。
またSiCパワー半導体の存在も使用する素材が違えば性能・特性の違いが生まれ、どちらかがどちらかの完全上位互換にはならず住み分けがなされるだろう。
つまり我が輩はナビタスにとって、中国企業もSiCパワー半導体もたいした障害にはならないとみている。ナビタス、要チェックや。
それじゃあ、また(・ω・`)